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絶対に怒ってはいけない!
ピアノの指導の世界ではひょっとして「怒る」ということは珍しい事ではないかもしれない。 厳しいレッスンなどという事はこの世界ではよく聞く事だ・・・と思われるかもしれないが・・・それはひょっとして日本だけかもしれない。 別に日本人が怒りっぽいということではないだろう。 多分日本人よりラテン系の人種の方がしょっちゅう怒っている気がする(笑) ロシア人なんか、笑う事が珍しいとも聞く(なんでもロシア人は相手から笑顔を見せられると、自分がバカにされたと勘違いするらしい) ただ、ラテン系の人種のレッスンがいつも怒っているというより、より情熱的なレッスンをしていて、怒っているという感じはあるかもしれないが、こと日本でのレッスンは怒っている事は珍しくはないだろう。 でも・・・正直言って怒るということは何にも役に立たない。そればかりか悪影響ばかりだろう。 そもそもレッスンで怒るというのは、レッスン内容が思った様にいかないから指導者が怒るのだろう。 でもレッスン内容がスムーズに行かないなんて、当たり前なのだ。 うまく弾けないからそれを直しに習いに行っているだけなのだ。 それを頭ごなしに怒ってもしかたない。 そこには本人の集中力とか、やる気という問題もあるだろう。 そこに日本の指導の(特に子供に対しての)問題がある。 そもそも日本では本気でピアノに向かっている子供なんてそれほどいないだろう。 まさか4歳から自分の意志で・・・という子供はそれほどいないだろうし、そうだとしても、うまい演奏を心がけたいなんて思っている子供だってそれほどいるとは思えない。 そんなの子供だからしかたがないのだ。 外国でピアノを習う子供は、日本の早期幼児教育と違って、おそらく自分の意志で習う子供が圧倒的だろう。習い始める年齢も遅いと聞いている。 その点ではおそらく海外のレッスンの方が日本よりもより積極的で楽しいレッスンをしているのではないだろうか? 日本では指導している方も「なんでこんなにこいつ練習しないんだ?」と思い、生徒本人も「なんで私はこんな所に来てピアノを弾かなきゃいけないわけ?」 と思っているパターンなんかかなりあるだろう。 これは日本の受験制度も同じだろう。 大学に入るという事自体は、日本では別に勉強したいわけではなく、単に学歴が欲しいから入るだけであって、学問を勉強したいために入る人がいったいどれだけいるのかは、はなはだ疑問である(もちろん、そういう勉学好きで向上心ある学生は絶対いるとは思うが) なので、どういうわけか、日本の学生はいやいやながら勉強して、大学に入ったと同時に勉強しなくなる、という不思議な現象があるわけだ。 そして、社会人になると全く遊べないから今のうちに4年間、みっちり遊ぼう!。大学は遊ぶためにある!・・・? これ、本当によーく考えてみるとすごくおかしい。
同じ様にピアノ教育の世界も子供の場合はあまり変わらない様な気がする。 子供の場合で怒ってもいいというパターンは・・・おそらく本人が明らかにふざけている場合。これは怒っていいだろう。 もしくは発表会期日に間に合わないのにのんびり練習している場合か? ただ、もうこうなると、その生徒自身、習う必要性はあるのか?という問題になってくるだろう。 習い事はあくまでも本人の意志がなければ長続きは結局しないものだ。 さて、ではご自宅で子供が練習しないという場合は怒っていいものかといういう疑問もあるだろう。 まあたしかに家庭でしかり飛ばしながら練習させる事は、まあある程度は宿題をこなすという点で成果は出せる・・・と思いきや・・・正直言って本当の意味では成果は出ないだろう。 たとえ楽譜通りに弾いたとしても、おそらく中身の音楽は空っぽだろう。 結局、怒る事には様々な面において効果はないと思った方が良い。 さて、大人の場合はどうだろう? 大人の場合は全員自分の意志できているので、もうそういうパターンで怒るということはあり得ないだろう。 もちろん、世間では怒りながらのレッスンはあるかもしれないが、正直言ってそれはよくないと断言できる。 子供よりも大人は精神的に思っている以上に弱いし敏感である。 怠けて練習せずにレッスンに来る子供とはわけが違うのだから、もう自分自身が十分反省しているだろう。 でも・・・多分大人の世界でもそういうレッスンは珍しくない。 特に専門になればなるほどそうだろう。 それに関して良い悪いは意見が分かれるかもしれないが、そういう問題はさておいて、私自身はレッスンでは怒らない。 ただ、子供の頃に私の所に通っていて現在大人になった生徒に聞くと若い頃の私は結構怒っていたようだ(笑)。 あんまり記憶にないのだが・・・。 まあその辺りは年を取ったからかもしれないし・・・昔はあまりにも熱心だったんだろう・・・と言うと今はあまり熱心ではないのか(?)と思われるかもしれないが(汗)。 真相はそうではなくて・・・うまくいかなければこちらはいくらでも待ちましょう、という意味なのだ。 ピアノという楽器及び、音楽という学問は本を読めばいいとか、暗記すればいいとか・・・そういう簡単な事で上達するほど生易しいものではない。 加えてかなりの時間がかかる。 読譜力をつける事なんて、手順をきちんと踏んで指導しないとなかなか上達しないし、重量奏法テクニックになればなおさらである。 さらに音楽性なんて、そう簡単に身に付く物でもないし、まねごとなら出来たとしても、自分の中から自然に表現できる様になる事は、もう”指導”では出来ない物がある。 これらピアノの難しいカリキュラムは、時間をかけてやっていかないと、とてもじゃないけど習得は出来ない。 自分が怒って相手を自分の要求度に答えさせる為に指導するというのは・・・もうこれはいわば”恐喝、恫喝”の世界である。 恐喝、恫喝をなんどもされて普通の精神状態でレッスンに通えるほどタフな人間は早々いないだろう。 もしくはそういう指導を受けてきた音大生が結局は自分の生徒にまで厳しいレッスンを押し付けるという悪順連鎖を生みかねない。 このあたり、おそらく子供の虐待と似ているのではないか?
実は最近、時間的にかなり余裕が出てきたので、大学の時の恩師に20年ぶりに!定期レッスンに通っている。 先生はハンガリー人なのだが、人種の事も関係しているのか(?)とにかく温厚で笑顔が絶えなく、また・・・これが一番驚く事なのだが、(私は極めつけに下手なのにも関わらず)とにかく怒った事が一度たりともない。 恩師については20年ぶりに訪れて、様々な面で驚きを隠せない事だらけなのだが(これについては別のメッセージ集で述べるとして)とてつもなくレベルの高いドバイビル並みの要求を笑顔とジョークを交えて(!)レッスンを進める。 凡人である私としてはなかなかきつい面もあるのだが(笑)とにかく恩師のレッスンはとても楽しい。 こんなにピアノって楽しかったのか!・・・と思わせるレッスン・・ああいうレッスンを目指さなければ・・・と、指導面においても反省しきりである。
2010.2.1 |
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