村田ピアノ音楽院

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私がピアニストを目指す本当の理由・・・(この世は誰も助けてはくれない)・・・

 

さて、何もピアニストなんか目指さなくたって今のところ生活できるわけだし,ただでさえ忙しいんだから何もそんな大それた事なんかしなくても良いだろう?と思う事も不思議ではない。

単にピアノを舞台で弾きたいから,という理由だけなら私自身でさえも「そんなの贅沢なんじゃないの?」と思ってしまう。

しかし,ここにはどうしても目指さなければならないやむにやまれぬ理由があったのだ。

その点をここで説明したいと思う。

 

その4〜世の中、誰も助けちゃくれない

我々ピアノ講師という仕事は自営業である。・・・もっとわかりやすくいうと,単なるバイトの延長線にすぎない。

労災もない。厚生年金もない。負担が全く不利な健康保険に,ベースアップなしに景気の変動をもろに食らう収入。そして退職金なし。

全くもって自営業はサラリーマンに比べたら圧倒的に不利である。

ただまあ・・・サラリーマンと違って好きに仕事ができるという面が良いかもしれませんが・・・。

そういう点では自営業という仕事は当たり前ではあるが誰も助けちゃくれない。

特にピアノ講師などというものは決して儲かる商売ではない。

そういう面でどうやって生活収入を確保するかという点では,自分の演奏能力,および,指導能力、人格に大きく左右される。

この3つ、演奏能力、指導能力、人格・・・であるが・・・

自分においては指導能力はまあまあなのかもしれない。いろいろと困っている生徒に対しての指導する内容,そして伝える能力は,ある程度はあるのかもしれない。

人格については・・・これはひょっとすると0点かもしれない。

なんたって過激な内容を書いている人間である。まあそれをおもしろがって来ている生徒だけで成り立っている教室かもしれないのだが・・・

さて,3番目の演奏能力であるが・・・実はこれが一番ピアノ講師には重要である。(いやもしかするとやはり人格が一番かもしれませんが・・・)

演奏能力があるから,指導能力も自ずと備わってくる。

演奏面でのテクニックや音楽などにおいて自分で築き上げた,もしくは開発した内容は必ず指導内容にフィードバックされる。

それはあたかもF1レースにおいての自動車メーカーがしのぎを削って決められた排気量でいかにハイパワーを引き出すかという技術を市販自動車のエンジンにフィードバックしているのと似ている。

特に上級レベルの生徒への指導の場合はこのウエイトがかなり大きい。

逆に言えば,演奏能力がないのに指導能力を高めるなどということは不可能なのである。

そして、演奏能力は、これでおしまい,という到達点などない。

常にピアノ講師といえども日々勉強と研究を絶やすわけにいかない。

どんなピアニストでもまだまだ,勉強しなければならない事が山積みである。

もちろん生徒に対する指導能力を高める事も大事ではあるが,そればかりに専念してしまうと,演奏能力が発展しない。

いつでも、どこまでも演奏能力は高める必要性があるのだ。

そしてとても大事な事・・・それは,生徒と自分のレベル差が天と地の差がなければいけないという事。

そうでなければ,余裕、かつ間違いのない指導が生徒に出来ないからだ。試行錯誤の段階で、まだ良いのかいけないのかわからない段階で指導する事はあまりにも危険が多すぎる。

ピアノ講師はどんなレベルの生徒が来ても大丈夫な様にどこまでも演奏能力を高める必要性があるのだ。

しかし、・・・近年の私はその練習時間が取れなかったために演奏能力が極端に下がっていた事は否めない。

もちろん、演奏能力が極端に下がったまま指導しているピアノ講師は他にも大勢いるだろう。それによって指導能力が落ちて,指導の質が下がる事により教室の評判がおちても、それで生活に支障がないのであれば良いのだが,・・・私の様に生活がかかっているものにとっては死活問題である。

近年ではインターネットで情報が入りやすいためか、回りには意外にも多くの実力のある若手ピアノ講師、もしくはその予備軍がかなりいることがわかる。

自分が演奏能力の勉強をさぼっていれば,そういう若手連中にあっという間に追い抜かれてしまうだろう。

果たして自分が歳を取った時にそれ相応の演奏能力は備わっているのか?

何度も言うが自営業には定年退職と,退職金がない。

つまりは死ぬ直前まで働くことになる。それはかまわないし,それが私の理想ではあるが,気持ちはあっても、演奏能力がないために指導能力がなければ,それすなわち明日から”失業”=”ホームレス”である。

現在多少の収入を減らしてでも余った時間で演奏能力を高めておかなければ,後々結果的に困るのは自分なのである。

演奏活動をしてみたい・・・これは何度も言うが所詮贅沢でひま人のやる事である事に間違いはない。

しかし,その裏には・・・いまここで暇を作って練習してでも演奏能力を高めないと自分が食えなくなる・・・と思って演奏活動をしている切羽詰まった連中もかなりいるのではないだろうか?

そんなおりだった・・・。あのいまわしい事件が起きてしまったのだった。

時は2008年3月20日、ピアノ発表会での講師演奏の時である。

曲はスクリャービン作曲、ソナタ2番1楽章。

ここをクリックしてみていただいてから次を読んでください。

 

そう,でもこんな事、別にいままで何度となくやってきた事ではあるのだが、私にとっては実はある意味で大変ショッキングな事であった。

何がって・・・実はこの曲,1年も前から譜読み、練習をしていた曲だったのだ。

1年もかかっていながらこの出来・・・。

つまりは,その1年というものがほとんど練習ができない時期だったのだ。

この頃の一日の練習時間は確か30分あるかまったくないか・・・。

もうほとんど一日が終わるたびに「あー今日も全く練習できんかった」と言いながら終わっていたと記憶している。

その結果、演奏能力はご覧の通りのありさまである。

このままでは本当に自分がだめになる・・・いずれ食えなくなる・・・。

生徒たちにも申し訳ない。こんな演奏しか出来ない先生が舞台に立っては,生徒たちからのあこがれもへったくれもくそもないではないか!

すなわち失望されてしまう。

そして・・・私は様々な決断をする事に決めたのだった。

 

次回は・・・最終章。「時は来た・・・」

ちなみにもう若くない中年の私のこの頃の心境はこのお方と同じである。

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